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脂漏性湿疹について

2011年10月17日(月)

よく耳にする皮膚科の病名の一つに「脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)」というものがありますよね。この病気は一体どんなものなのでしょう。

今日はこの病気について少しお話しますね。

脂漏性湿疹は、頭部、顔面など皮脂の分泌量の多い部分にフケ様の付着物を伴った発赤が出来る疾患です。かゆみは人によって様々。胸や背中の中央部、わきの下、陰部などに生じることもあります。

直接の原因は遊離脂肪酸が皮膚を刺激して皮膚炎を起こすことによります。
この遊離脂肪酸は皮脂の主要成分であるトリグリセリド(中性脂肪)が酵素リパーゼによって分解されて出来るのですが、リパーゼを分泌してこの分解反応を強力に行うのが皮膚に常在しているマラセチアというカビではないかと考えられています(このカビは脂分が大好きなので脂漏部位には沢山存在しています)。

ですから脂漏性湿疹をできなくするには
(1)皮脂過剰の状態にしないことと、
(2)皮脂を分解するカビなどを異常に増殖させないことが大事となります。

(1)ではどんな時に皮脂過剰となるのでしょう?
①ビタミンB2B6は皮脂分泌を抑制してくれています。したがって、これらが不足すると分泌量が増えて皮脂過剰状態になってしまいます。
②お酒はビタミンB2の吸収を妨げます。そのため、お酒を多量に飲むとビタミンB2不足になり、皮脂過剰状態となります。
③糖質、脂質の過剰摂取はビタミンB2・B6の体内消費を促進します。ということは皮膚で使われる量が少なくなり皮脂過剰状態となってしまいます。
④お肌を極端に乾燥させると、肌を守ろうとして皮脂が過剰に分泌されます。
⑤男性ホルモンは皮脂分泌を促します。ホルモンのアンバランスは皮脂分泌過剰状態としてしまいます。
⑥ストレスは皮脂過剰状態にします。ストレスは交感神経を強く刺激し、副腎皮質から抗ストレスホルモン(糖質コーチゾール)が作られますが、一緒に副腎髄質からアンドロゲン(男性ホルモン)も作られそれによって皮脂分泌が増加します。

(2)またどんな時にカビなどの菌が異常増殖するのでしょう?
①皮脂の多い状態
②じめじめした汗っぽい状態
③免疫力が低下した状態
と考えられます。

ですから脂漏性湿疹にならないためには…
甘いもの、アルコールは控えめにして、レバー、しいたけ、納豆、マグロ、バナナなどビタミンB2,B6を含む食品を多く摂るよう心がけ、ストレスを溜めないようにして、汗をかいたらこまめに拭くようにし、体力向上に心がけ免疫力を高めるようにするのが良いと考えます。

そして脂漏性湿疹ができてしまったら、早めに皮膚科を受診して下さいネ!

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